「看護師=自己研鑽(じこけんさん)」とある意味、看護師としての美徳かのように扱われてきた「自己研鑽」
その言葉を盾に休日や勤務終了後に勉強会や研修が当然のように行われています。それは看護師、というより医療従事者の世界ならではの慣習で、サービス残業が横行する要因にもなっています。
今回は、一般的にはあまり聞き慣れない、看護師が求められる「自己研鑽」の裏側に隠れている看護師さんの悩みについて見てみましょう。
自己研鑽という看護理念とは
「どうしてそこまで自分を犠牲にして働くの?」と思ってしまう程、責任感が強く患者の為にやり遂げようとする看護師さん。それは、看護師になる前から徹底して自己研鑽の精神を擦り込まれているから、と言えるかもしれませんね。
そもそも自己研鑽とは「学問などを深く究めるために自分を磨くこと・究めるために自分で努めること」という意味です。
日本看護協会の定める「看護者の倫理要綱」の中にこのような記載があります。(下記一部抜粋)
10.看護者は、より質の高い看護を行うために、看護実践、看護管理、看護教育、看護研究の 望ましい基準を設定し、実施する。
11.看護者は、研究や実践を通して、専門的知識・技術の創造と開発に努め、看護学の発展に寄与する。
この部分をさして、看護師である以上「自己研鑽」を怠ってはいけないという事なのです。。とても尊い使命ですよね。
時間外の勉強会や研修は自己研鑽の場なのか?
転職をサポートする際に「勉強会とか研修が少ない所がいいんです」「休みの日にも研修に参加しなければいけないのが辛くて辞めました」という声をよく聞きます。
やはり、「看護師には自己研鑽の義務がある」という言葉を出されると何も言えない、と悩んでいる方は非常に多いです。
しかし「自己研鑽」が大事だとは言え、それ以上に自分の体も大事。休みの日までほぼ強制的に研修への参加を求められるのは自己研鑽とは言えないと思います。
いつ医療ミスを起こしてもおかしくない状況で働く事はそもそも健全とはいえないですよね。
このような看護師さんの「自己研鑽」の名の下繰り返されるサービス残業の実態から、日本看護協会でも病院側に対して
「看護職は専門職として常に研さんを求められています。その意欲に応え、新たな知識・技術を学ぶ機会を組織内で提供することも広く行われています。研修機会の提供と、受講時間の確保や経済支援などは職員の期待に応えるものです。
しかし業務上の必要性があって受講させる研修と、自己研さんのための研修の混同は、労働時間の把握をあいまいにし、未払い残業発生の要因になりかねません。看護管理者は、研修の扱いについて、明確に区分した上、組織内に明示しましょう。」
という見解を示しています。
参加しないと「意欲」がない?
休日に研修や勉強会を行うのは、もちろん倫理要綱が悪いのではなく、病院側に問題があるのですが、実際は、現場の看護部長や看護師長が当然、と考えている場合も多いようです。
昔から続いている悪しき慣習。自分も同じように休みも返上して自己研鑽してきた、という正義をかざし部下にも同じように求めてくる。身近にいませんか?
このような上司がいる現場では、今なお、自費でも研修に参加しないと「勉強意欲がない」というレッテルを貼られてしまったり、評価を下げられる為、しんどくても、給与がでなくても行くしかない、という状況が続いています。
最後に 〜今後の展望〜
勤務時間外の勉強会や研修が辛くて退職する人が、未だにいるのが現状です。とは言え少しずつ改善されてきているのも事実です。
昨今の働き方改革の推進により、ますます病院側も対応を迫られるでしょう。
実際にきっちりと勤務時間内に勉強会や研修を行っている病院もあるので、どこも同じだと思って諦めてしまうのではなく、実態に詳しい転職エージェントに相談するといいかもしれません。
メディカルCOCOも、勉強会・研修が少ない医療機関へのサポート実績があります。同じ悩みを持っている看護師さんは相談してみてください。