日本看護協会が毎年実施している「病院看護実態調査」の最新版(2018年度分)が先日発表されました。
意外に看護師の方はご存知なかったり、結果を知らなかったりする事も多いので、結果内容から離職率の現状や、病院側が考えている事やこれからの看護・医療がどういう流れになっていくのかを解説したいと思います。
離職率・初任給・夜勤手当 全て横ばいの結果
2017年度の正規雇用看護職員の平均離職率は10.9%。新卒看護職員離職率は7.5%。
病床規模では99床以下、100~199床の病院で離職率が高い傾向にあるのは、ここ数年の調査結果とほぼ同じでした。
そして新卒初任給(基本給、税込給与総額)や夜勤手当についても過去5年間ほぼ横ばい。唯一勤続10年以上のベテラン看護師の諸手当を含めた給与が少し増えた、という結果でしたが、現場の皆さんの感覚はいかがでしょうか?
人手不足が続くと言われ、働き方改革という言葉も多く聞かれるようになりましたが、まだまだ現場には反映されていない、といった結果となりました。
特に夜勤については、厳しい負担に見合った賃金体系になるように看護協会としても活動していく、としています。
訪問看護の強化〜看護師さんの活動の場の広がり〜
今回の調査で、今後の医療の方向性がよく分かる結果が出ました。
訪問看護部門の設置や訪問看護ステーションの併設など、訪問看護を提供する病院が全体の52.3%、今後導入したいと回答した病院が10.5%、と合計で70%以上もあったのです。多くの病院が国の方針に合わせ地域包括ケアシステムの構築、在宅医療の促進に力を入れていく方針である事がより具体的に分かりました。
今後の高齢化社会を見越した地域における訪問看護機能の充実・強化はとても重要です。看護師さんにおいても病院から地域へと働く場所が変わって行くのではないでしょうか。
看護師ニーズの変化
今後の看護師の増員予定としては「今年と同程度」「今年より増員」と回答した病院は全体の8割と、今年も看護師の需要が高い事がいえます。
その中でも病棟部門の37.8%が最も高い割合で、次いで退院支援・地域連携部門が26.9%と大きく増えました。
長期入院ができなくなった今、退院支援や地域連携の部門は病院のなかでも重要な役割を担う為、これらの知識を持った看護師さんはとても貴重な存在となっていくでしょう。
次に、地域包括ケアに欠かせない訪問看護部門も17.3%が増員予定、特に地域の中小規模病院の割合が高く、地域のニーズが増えている事が伺えます。
まだまだ病棟や外来、手術室に比べて訪問看護部門のある病院は少ないですが、その中での需要はとても高いです。
求人が多い看護師さんとはいえ、必要とされる部門はどんどん変わっています。しっかりと今後のニーズを知っておく事は大切です。
まとめ
いかがでしたか?
実際にデータで見ると自分の実感とかなり違う部分もあったかもしれません。まだまだ働き方改革も道半ば。
待ったなしで差し迫る高齢化社会に、医療がどれだけ追いつけるか、、今後の課題ですよね。
少しでも現場の皆さんにとって、今後の看護・医療についての正しい情報を知って頂き、ご自身の将来を決める材料になれば幸いです。