働き方改革が求められている現在、「他職種への業務移管=タスク・シフティング」が注目されていますよね。特に、これからの超高齢化社会で人手不足が予想される医師。
医師でなくとも可能な業務をほかの医療職に移管し、医師の負担を軽減するための対策が検討されています。シリーズ最終回は先日、日本看護協会が厚生労働省に要望を提出した「ナース・プラクティショナー制度」について、考えてみましょう。
シリーズ第1弾 〜認定看護師の今後〜
シリーズ第2弾 〜必要とされる特定看護師とは〜
シリーズ第3弾 〜未来に向けて!ナース・プラクティショナー制度とは〜 ←今回はここ
ナース・プラクティショナー制度とは
アメリカ・カナダを始め多くの国々で採用されている制度で、一言で言うと、医師の指示がなくても、一定レベルの診断や治療を行う事ができる看護師の事です。
日本では、まだ資格や制度ではなく、正式な国家資格ではありません。
近いもので、特定看護師や診療看護師(NP)という民間資格があります。まだまだ範囲が限定されていますが、これらも高齢化社会に向けて、医師不足を見据え、タスク・シフティングを進める事が目的となっています。
導入後のメリット・諸外国の事例
ではすでにナース・プラクティショナー制度を導入している諸外国ではどのような効果がでているのでしょうか?
・治療継続の改善
・待ち時間の短縮
・重症化予防
・高い患者満足度
などが報告されています。
逆に目立ったデメリットはなく、日本看護協会も現在の特定看護師の制度では対応仕切れない、という現場のニーズもふまえ、導入に前向きです。
反対派の意見
では、どうしてなかなか日本での検討が進まないのでしょうか?
一番は、日本医師会が強く反対しているからです。
その他にも
・業務を看護師任せにして責任転嫁や医師として怠慢になる人も出てくるのでは?
・正看護師・准看護師の問題もあるのに、新しい資格を増やしても混乱する。
・日本の医療体制に馴染まないのでは?
・多職種協同によるチーム医療と違い、独立して医行為を行う場合の責任の所在はどうなるのか。
このような声もありますが、現場の看護師の皆さんはどう思いますか?
まとめ
今回、日本看護協会としては、まずはナース・プラクティショナー制度を議論する検討の場を厚生労働省に要望したところなので、まだまだ実際に形になるのは先だと思います。
しかし現実問題、医師も看護師も人手不足です。何らかの対応をしていかないと、地方の医療は成り立たなくなります。
こういった視点をふまえ、今からどのようなキャリアアップを目指すのかを考えてみる事も必要ではないでしょうか?
ぜひ参考にしてみてくださいね。