新しい薬を開発するには、想像以上に厳しい研究や試験が行われています。もちろん、国の許可も必要になるので、商品化まで何年、何十年という歳月がかかっています。何となくはイメージできても、なかなか一般人には分からない世界ですよね。
そんな新薬開発に欠かさせない役割を担っているのが、治験コーディネーター(CRC)と呼ばれる方々です。
今回はそんな治験コーディネーターの働き方について詳しくまとめたので、興味のある看護師さんはぜひチェックしてくださいね。
治験コーディネーター(CRC)とは
まず、薬が出来るまでの大まかな流れが下記になります。
①基礎研究 → ②非臨床試験 → ③臨床試験 → ④認証申請・製造開始
この③臨床試験を治験=人間の身体に対する有効性や安全性を確認する事と言い、この治験をスムーズに行えるようにサポートするのが治験コーディネーターの大きな役割です。治験の中でも3段階に分かれていてそれぞれの知識も必要になります。
実際、治験コーディネーターには、必須の資格はありません。ただ上記のような非常に専門的な知識が必要な為、現実的には看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などの医療関係者の方が大半を占めています。
具体的な仕事内容とは
看護師資格が活かせる仕事とはいえ、実際の仕事内容は看護師の時とはかなり変わります。
●業務フローの作成、資料の作成
●関係者との連絡・調整
●被験者に対する説明・看護
●治験を行う医師のサポート
など多岐に渡ります。デスクワークが基本となるので、PCスキルなども覚える必要があります。
治験コーディネーターのメリットと必要な資質
勤務時間は、会社員と同じく日勤のみ・基本土日祝が休みのところがほとんどです。そして、デスクワークが中心なので体力的にもかなり楽になるでしょう。
看護師として第一線で活躍していたけどそろそろ落ち着きたい、体力的にしんどくなってきた、と言う方には、看護師としての経験、知識を活かしつつ、規則的な生活が出来る事がメリットと言えるでしょう。
ただ今までとは正反対で、製薬会社の利益に貢献しなければいけません。早く新薬が発売出来るように、期限内に症例データを集めたり、治験対象者を集める事も大切な仕事です。その為には様々な人とのコミュニケーション能力も必要です。一種の営業職だと思っておいた方がいいかもしれません。
製薬会社・治験担当医師・被験者の調整役となりまとめて行かなければいけないので、忍耐力も必要ですね。
給与は?看護師の時と比べてどうなの?
さて、気になる給与はどうなのでしょうか?
日勤のみ、土日祝が休み、と言う事を差し引いて考えると基本給は看護師の時とほぼ変わらないと思います。ただ病棟勤務で夜勤も普通に入っている看護師さんと比べると最初は年収ベースで100万近くダウンしてしまうでしょう。
そもそもCRCになる方法は大きく分けて2通りくらいしかありません。そのどちらかに就職するかによって、給与は変わってきます。
①SMO(治験施設支援機構)に就職する
②院内CRCとして働く
SMO企業は主要大手4グループが治験受託の8割近くを占めていて雇用体制も安定しています。そして一番の利点は「昇給」です。初任給は、看護師より少なかったとしても、自身の成果次第で昇給があるので、最終的には治験コーディネーターになってからの方が年収がUPした、と言う方も実際にいらっしゃいます。
それに比べて院内CRCは、一つの治験の期間だけの期間限定採用の場合が多く昇給もほぼありませんが、臨床に携わる機会は保たれる、と言う利点はあります。
CRCを2年経験するとCRC認定資格の受験資格を得られます。合格するとCRC手当が付く企業も多いので、目指してみる価値はあると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?イメージ通りでしたか?
大変な事も多いCRCですが、新薬開発により未来の患者さんを減らせると言う社会貢献、被験者に一番近い立場で薬の成果を見届けられると言う大きなやり甲斐があると思います。
ただ、今まであまり経験した事のない資料作成になかなか慣れず辞めてしまう看護師さんも多いです。看護師の仕事より楽かも、と言うくらいの気持ちで始めると辛くなるかもしれません。
そして、治験コーディネーターとして働く以上、保有資格による差はありません。看護師さんでも無資格の人でもやるべき役割が同じであれば給与も同じです。その点でも納得出来るか、よくよく考えてみて下さいね。