看護師さんの悩みで常に出てくる残業代問題。
しかし、看護師歴ごとにその悩みの質は変わってきます。働き方改革によって改善が進められてはいますが、医療業界への浸透はまだまだ先でしょう。
看護師の残業代についての問題は、人に聞きにくく、実態が分からないという事だと思います。納得しないままサービス残業で乗り切っていませんか?
新人が残業代をつけるなんて・・・という暗黙のルール
看護師さんに関わらず、いきなり新人からすぐに効率よく仕事ができるなんて事はありません。どうしても時間内に終わらず残業になってしまう事はあると思います。
残業にならないようにしたくても、看護師さんの場合は仕事柄時間が来たからそこで終わり!という事はできないですよねぇ。
患者さんや次に引き継ぐ看護師さんにも迷惑をかけてしまうので、残業をせざるをえないと思います。
これが他職種と一番違う所かもしれません。その結果、残業はするけど、新人だから残業代は付けられない、という暗黙のルールができているようです。新人研修時に直接先輩から、「新人は残業代を付けないで」と言われた人もいました。(これはグレーすぎる例ですが)
または職場の雰囲気から、先輩に気を遣って残業代を申請しない、先輩より少なくなるように調整をしている、という新人看護師さんもまだまだ多いようです。
自分の勉強の為に残業しているのか、そもそも時間内に終わらない仕事なのか判断が難しい場合が多いので、これも看護師さんを悩ませる大きな要因だと思います。
逆に、空気を読まずしっかり申請をしている看護師さんに対して、「ありえない」という感情が生まれてしまい、同じ新人看護師同士でも対立がうまれ、、、、負の人間関係の始まりに変わっていくのです。
新人の時に言われた「オキテ」を守り続けている中堅看護師さんの現状
看護師としての技術もほぼ身に付け一人前として活躍する看護師歴3〜5年目の看護師さん。
新人教育という新たな任務も加わり、業務がより一層増えます。それを残業代として付けれるか、付けられないか、は病棟の「伝統」によって大きく変わるようです。
残業代の付け方をちゃんと説明された、教育を受けた、という看護師さんはほとんどいないのではないでしょうか。
人事から表向きには言われていても、それを間に受けて申請したら失敗した、というケースも多々聞きます。
結果、中堅看護師になっても、新人の時に非公式で言われた「残業代を全部付けるなんてあり得ないよね」と言った暗黙の「オキテ」を忘れられず、周りの目を気にしたまま残業時間を調整している、、、という人と
残業代がもらえないなら、残業しないようにとにかく効率よく仕事をしてささっと帰る!と割り切った仕事をする人、
に分かれていくるのが中堅看護師さんでもあります。
独身看護師さんと既婚看護師さんによっても、働き方が変わってくる時期でもあります。新人の時とはまた違い、わざと残業をしようとする人が出てくる反面、子供の事を盾にして残業を押し付けてくる人、、などの問題も新たに加わるのがこの年代の特徴です。。
残業時間が自分の評価になる師長の立場
シフト管理や看護師のマネージメントが仕事になる師長。今度は、管理者として部下の残業時間を監督していく立場になります。
今までとは違って、自分のチームの残業時間が少ない事が評価につながります。勤務時間が厳しくなっている昨今は特に、残業削減は大きな課題であり、師長の腕の見せどころ。それを正しいマネージメントで達成できれば問題ありませんが、そう簡単ではありません。
なので手っ取り早く達成させる為には、師長もやりたくないと思いますが、極力残業を付けないように誘導するしかないのです。
残業申請時に師長にチェックされ、減らされた、という経験はないでしょうか?
月末になると、残業は後◯時間まで、という指示が下りてくる、という病棟もあります。
しっかりと業務改善を行い残業が発生しないようなシフト作り、残業になっても申請できる、という仕組みができている医療機関も確かにありますが、現実はまだまだ少数だと思います。
師長になると新たな苦労が増えるとはいえ、サービス残業前提での業務の割り振りはやめて欲しいですよね。
繰り返す悪しき習慣
残業代の悩みをお伺いしていると、その悩みが連鎖している事に気付きます。
「自分も我慢してきたんだから次の新人もそうでしょ」という気持ちになってしまうのだと思います。
その結果、新人からしっかり残業代を申請できるようになったとしても、現場が受け入れられないという雰囲気を作ってしまい、また悪循環を繰り返してしまうのです。根は深いです。
仕事が遅いのか、業務が多いのか、
は残業問題では常に上がる課題です。
残業問題を解決するには、それぞれの年代に合わせた残業時間の基準を明確にし、一気に進めないと難しいと思います。
少しでも早く、看護師の皆さんが健全な働き方になりますように…