少し前ですが日本看護協会が行っている2019年病院看護実態調査が公開され、2019年度の平均年収は482万9100円と言う結果でした。
皆さんの実感値とどうでしょう?地域によってももちろん差はありますが、今年も四国・九州地方が全体的に低い傾向にありました。
逆に平均年収のトップは、東京ではなく岐阜県の543万4400円と言う結果に。一部の大病院が牽引していると予想されます。
今回は、調査結果からみる実態と現場の意識の違いについてまとめました。
平均年収は夜勤もやってこそ
平均年収にはもちろん夜勤手当も含まれています。
夜勤手当の平均は3.5万〜5万円/月。夜勤をしない選択をした時点で、年収は40〜60万減ることを覚悟する必要があります。
これも昔から言われていますが、看護師さんの年収は一見いいように見えますが、体力的にも大変な夜勤をどれだけできるか、に左右されると言う状況は続いています。
その反面、自分の時間も大切にしたい、子供との時間を持ちたい、と夜勤なしの働き方を希望する看護師さんが増えている事も事実です。
ただ、夜勤をやっていた時との年収のギャップが予想以上に大きい事をあまり知らずに転職活動を開始してしまい、自分が思っていた働き方ができなかったり、無理な働き方を選んでしまったりしがちなので、この事実はよく理解しておいた方がいいかもしれません。
前残業は残業扱いになる?
「前残業」。他の業界ではあまり聞き慣れない言葉ですが、看護師さんにとっては、命に関わる大切な業務である為、始業開始1時間ほど前から出勤し、事前にその日担当する患者の状況をヒアリングする事は、『当たり前』とする昔からの習慣があります。
今回の調査でも、前残業を時間外労働として認めている、とした病院は21.5%、認めていない病院は62.9%。まだまだサービス残業になっている病院が多い事が分かります。
なので、実際に働いている看護師さんが「前残業をしても手当がつかない」と思ってしまうのは無理もありません。
とはいえ、日本看護協会が示しているガイドラインでは、前残業だけでなく、制服に着替える時間ですら、勤務時間に含むべきと記載されています。
今まで前残業を当たり前として個人の負担に頼っていた働き方をどこまで変えれるかが今後課題になるのではないでしょうか。
働き方改革は表向き進んでいる?
昨年から始まった働き方改革で時間外労働の上限制限が設けられました。(中小は2020年4月から)
調査によれば、時間外労働の上限規制に74.9%が対応済みと回答しています。
対応策としては業務改善を行った、人員を増員した、他職種に業務を移行した、などがあげられましたが、実際の状況はどうでしょうか?
まだまだ現場の実感としては時間外労働が減った、と言うよりサービス残業にせざるを得ない、と感じている人の方が多いのではないでしょうか。
まとめ
やはり今年の調査結果でも、仕事量や責任に見合った給与とは言えない、他の職種と比べても高いとは言えない、と言う結果になりました。
しかし、子供が看護師になりたいと言った場合に「賛成する」と回答した看護師は半数以上、と言う調査結果もあり、単に年収の比較だけでなく「人の助けができる」「どこでも働ける」「安定している」「不況に強い」と言った部分でやり甲斐を感じている方が多いと言うことだと思います。
もっともっと現場の看護師さんが納得できるような働き方改革が進み、待遇が改善されていく事を期待したいですね。