働き方改革が求められている現在、「他職種への業務移管=タスク・シフティング」が注目されていますよね。人手不足の医療業界においては、医師でなくとも可能な業務をほかの医療職に移管し、医師の負担を軽減するための対策が検討されています。
その中で一番注目されているのは、看護師。
今回から2回に分けて、今後期待されている二つの上級看護師について解説します!今回は、2020年より新制度がスタートする認定看護師についてです。
認定看護師とは
ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として日本看護協会の認定を受けた看護師のことで、5年の実務経験(うち3年は特定看護分野での経験)と、認定看護師教育課程の終了が必要です。
先日(2019.7.15)から施行されている新規定による認定看護師の役割は
- 個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
- 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
- 看護職等に対しコンサルテーションを行う。(相談)
このように、より高度な能力を目指すことになり、社会の需要に答えられる看護師が求められています。
整理しよう!「現行の認定看護師」と「新たな認定看護師(特定認定看護師)」
現在、認定看護師制度は過渡期になっています。新しい情報を正しくキャッチアップし、自分はどのパターンに該当するのか、どの方向に進むべきなのか、考えてみましょう。
【整理】
▼「現行の認定看護師」は、特定行為研修を修了することで「新たな認定看護師」へ移行できる
▼すでに特定行為研修を修了した「現行の認定看護師」は、事務手続きのみで「新たな認定看護師」へ移行できる
▼「現行の認定看護師」のまま、資格更新を続けることもできる(必ずしも「新たな認定看護師」に移行しなければならないわけではない)
▼「現行の認定看護師」の新規認定は2029年度で終了する
特定行為研修とは、
・多職種協働・特定の看護分野における役割モデル(看護職者へ指導、看護職等へのコンサルテーション・相談)・高い臨床推論力・病態判断力・倫理・地域医療への理解・急性期・エンドオブライフにおける病態を理解したケアの実践
といった項目が追加され、合計で800〜1000時間のカリキュラムをさします。
この新カリキュラムは2019年度からスタートしていて、最初の「新たな認定看護師」は2021年度に誕生する予定です。
整理しよう!新たな認定看護師の「分野」
認定看護師にとっては、特定行為が行える「分野」が非常に重要です。今後期待されるニーズと、自分の進みたい分野、両方を考えた上で、どの認定看護師になるか、よく考えてみてくださいね。
新設された分野、名称変更や統合される分野、と色々ありますので、まとめてみました。
●2020年度以降、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育を開始する10分野
▽がん薬物療法看護(現行の「がん化学療法看護」から名称変更)
▽生殖看護(現行の「不妊症看護」から名称変更)
▽在宅ケア(現行の「訪問看護」から名称変更)
▽呼吸器疾患看護(現行の「慢性呼吸器疾患看護」から名称変更)
▽心不全看護(現行の「慢性心不全看護」から名称変更)
▽脳卒中看護(現行の「脳卒中リハビリテーション看護」から名称変更)
▽腎不全看護(現行の「透析看護」から名称変更)
▽摂食嚥下障害看護(現行の「摂食・嚥下障害看護」から名称変更)
▽小児プライマリケア(現行の「小児救急看護」から名称変更)
▽クリティカルケア(現行の「救急看護」と「集中ケア」を統合)
●現行の認定看護師教育を2026年まで実施し、かつ、2020年度以降、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育を開始する9分野
▽緩和ケア(現行の「緩和ケア」と「がん性疼痛看護」を統合)
▽認知症看護
▽手術看護
▽糖尿病看護
▽皮膚・排泄ケア
▽感染管理
▽がん放射線療法看護
▽乳がん看護
▽新生児集中ケア
●現行の認定看護師教育を2026年で終了する12分野(ただし、個人の資格については永続的に更新が可能)
▽がん性疼痛看護(新たな「緩和ケア」に統合)
▽救急看護(新たな「クリティカルケア」に統合)
▽集中ケア(新たな「クリティカルケア」に統合)
▽がん化学療法看護(新たな「がん薬物療法看護」へ名称変更)
▽不妊症看護(新たな「生殖看護」へ名称変更)
▽訪問看護(新たな「在宅ケア」へ名称変更)
▽慢性呼吸器疾患看護(新たな「呼吸器疾患看護」へ名称変更)
▽慢性心不全看護(新たな「心不全看護」へ名称変更)
▽脳卒中リハビリテーション看護(新たな「脳卒中看護」へ名称変更)
▽透析看護(新たな「腎不全看護」へ名称変更)
▽摂食・嚥下障害看護(新たな「摂食嚥下障害看護」へ名称変更)
▽小児救急看護(新たな「小児プライマリケア」へ名称変更)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このような資格取得に熱心な病院もあれば、何も情報や援助すらしてくれない病院もあり、医療機関側も様々です。
でも自分の今後のキャリアを考え認定看護師を目指す事も看護師としてのやり甲斐につながると思います。なりたい!と思ってすぐになれる訳ではありません。
早い段階から計画的に進めることが必要なので、ぜひ一度じっくり検討してみてはいかがでしょうか?
参考:日本看護協会サイト